真夏の決戦、US OPEN

今年最後のテニスのグランドスラム、US OPENがいよいよ山場を迎えています。

残す男子シングルスの試合は6日(金)現在あと2試合、準決勝、決勝です。今年は錦織選手をはじめとするシード選手が次々に敗退し、荒れ模様の大会となりましたが、この準決勝に駒を進めたのは実力者ばかり。混戦に決着を付けるのはどの選手か、注目の4選手をご紹介しましょう。数日の内に新しいチャンピオンが誕生しますよ!

■絶対王者、ノバク・ジョコビッチ

ノバク・ジョコビッチNovak Đoković, セルビア語:  Новак Ђоковић, 1987年5月22日 – )は、セルビア・ベオグラード出身の男子プロテニス選手。ATPランキング自己最高位はシングルス1位、ダブルス114位。これまでにATPツアーでシングルス37勝、ダブルス1勝を挙げている。身長188cm、体重80kg。右利き、バックハンド・ストロークは両手打ち。

 

毎年この真夏に行われるUS OPENは特にタフな大会としても有名で、ただでさえ日照時間が長い夏場開催であると同時に、照り返しの強いハードコート、さらに風が通り抜けにくいスタジアムでの開催と選手にはかなり厳しいシチュエーション。

この大会を勝ち抜くための重要なキーワードの一つに大会を通してクオリティの高い試合を行える『タフネス』が上げられます。ジョコビッチは技術面、精神面、体力面と三拍子揃った選手で、中でもタフさに関しては他の3人を大きく凌駕しています。ピンチになればなるほど真価を発揮する勝負強い選手です。

ベースラインからの正確なショットに加え、カウンターショットも得意でどんな球にも追いつきさらに厳しいコースに打って出るプレイスタイルですが、見ていて壁みたいでつまんないとの意見も。

確かに目立つ派手さは無いものの、ミスしない正確さ、折れない心はつらい下積み時代が会ったからこそ。以前はフェデラー、ナダルと言った選手にはどうしても追いつかず、万年3位の烙印を押された選手でした。この頃は自慢のタフネスも見る影もありませんでした。

ジョコビッチは2011年の年間41連勝をはじめ、ある時期を境にブレイクします。それは彼自身がグルテンアレルギーだったことに気がつくことでした。外国の方の主食は主にパンですが、パンなどに含まれるグルテンに彼はアレルギーを示しており、試合後半になると息切れしていました。

試合をテレビで見たある医者が彼に忠告したところ、食生活の改善によりアレルギーが解消。それからは破竹の勢いです。ちなみにジョコビッチは米食に変えたところアレルギーが無くなり今では不動の世界1位。恐るべし、米パワーですね。

 

■美しいバックハンドは必見、スタニスラス・ワウリンカ

スタニスラス・ワウリンカ(Stanislas Wawrinka, 1985年3月28日 – )は、スイス・ローザンヌ出身の男子プロテニス選手。2008年の北京五輪男子ダブルスで、ロジャー・フェデラーと組んで金メダルを獲得した選手である。これまでにATPツアーでシングルス4勝、ダブルス2勝を挙げている。自己最高ランキングはシングルス9位、ダブルス90位。身長183cm、体重79kg。右利き、バックハンド・ストロークは片手打ち。バブリンカと呼ばれることも多い。

 

長らくスイス代表として活躍する選手ですが、スイスといえば歴史に名を残す大選手『フェデラー』がまだ現役でおります。スイス勢では2番手という扱いですが、コンスタントにATPランキングでも10位近くを位置しておりとても攻撃的な選手です。

ジョコビッチが壁のような選手であるとするのであれば、ワウリンカはキレで勝負するタイプ。ダブルバックハンド全盛の昨今において美しいフルスイングのシングルバックハンドは珍しく、攻撃力も抜群。

フォアとバックを広角に打ち分けどんなに左右に振られてもフルスイングでエースショットを狙いに行く攻撃的なタイプの選手です。ギアは以前から日本メーカーのヨネックスラケット(VCORE Tour 97)を愛用しており、個人的にも好感が持てます。

今大会ではウインブルドンを77年ぶりにイギリス人として優勝をして世界2位にまでなった波に乗る『アンディ・マレー』を下しての準決勝進出。

美しきバックハンドはジョコビッチにも通用するのかも見物ですね。

 

■ロンドン五輪ダブルス金メダリスト、リシャール・ガスケ

リシャール・ガスケ(Richard Gasquet, 1986年6月18日 – )は、フランス・ベジエ出身の男子プロテニス選手。2004年の全仏オープン混合ダブルス優勝者である。2012年のロンドン五輪男子ダブルスで、ジュリアン・ベネトーとペアを組んで銅メダルも獲得している。シングルス自己最高ランキングは7位。これまでにATPツアーでシングルス9勝、ダブルス2勝を挙げている。身長185cm、体重75kg、右利き。

 

準決勝に駒を進めた中では一番小粒な感じのするプレイヤーに見えてしまうのが、このガスケ。

このガスケも珍しくシングルバックハンドの名手。ワウリンカとはまたひと味違ったダイナミックな振り抜きのバックハンドが武器の選手で、ダブルスもうまいことでも分かるようにボレーも得意。繊細なタッチのプレイもセンスを感じさせます。

彼は若干9歳の時に「フランス・テニス・マガジン」の表紙に掲載されるほどの、天才少年でしたが、今までグランドスラムはもちろんのこと、ATP1000クラスのメジャーな試合での優勝は残念ながらありません。グランドスラムは4回戦どまりで、ロンドン五輪でのダブルスの金メダリストという肩書きはついたものの、今までは期待と比べてしまうとぱっとしない成績でした。

フランスの元天才少年は輝きを取り戻せるのか?

初めてのグランドスラムのセミファイナル。やっとつかんだチャンスを生かせるのか、ここにもドラマありですね。

 

■翼の折れた元No.1、ラファエル・ナダル

ラファエル・ナダル・パレラ(Rafael Nadal Parera, 1986年6月3日 – )は、スペイン・マヨルカ島・マナコー出身の男子プロテニス選手。2005年~2008年、2010年~2013年の全仏オープン男子シングルスで2度の大会4連覇を達成し、2008年北京五輪の男子シングルス金メダルも獲得した。さらに、2010年全米オープンで優勝したことにより、キャリア・ゴールデン・スラムを達成している。左利き(本来は右利きであるが、幼少時に助言を受け左打ちに矯正した)。これまでにATPツアーでシングルス59勝、ダブルス8勝を挙げる。身長185cm、体重85kg。

 

フェデラーが長らく築いてきた世界ナンバーワンの牙城をパワーで打ち崩したナダル。ジョコビッチにその座を奪われるまで、ほぼ無敵の様相を呈してきていいましたが、自慢のフィジカルに問題がおきてランキングは後退。ビッグ4にはとどまっているものの、かつての無敵というオーラは無くなってしまいました。

原因は膝の怪我。彼は体つきや一見手打ちにも見える無理なショットからパワーでゴリゴリのプレイヤーに見えますが、そのプレイスメントは実にクレバー。試合の状況に応じて、ボレーを織り交ぜたり、緩急を付けたりと自分が如何に走り負けないかを計算してプレイしています。

彼の強みは、読みと自慢の脚力によるコートカバーリング力でしたが膝の怪我によってパワーショットによる展開に頼るようになり、少しづつ身体とプレイにズレがでてきてしまいました。

今年に入って復調し、以前のような他を寄せ付けないような強さを見せていましたが、この前のウインブルドンではあっけなく1回戦負け。まだまだ本調子にはほど遠いようです。そんな中、一試合一試合積み上げて、準決勝まで上り詰めたナダル。

ハードコートという膝には厳しいサーフェスですが、その分彼のドライブがかかったストロークが冴えるコートでもあります。彼の身体が勝つか、ショットが上回るか。これもまた見物ですね。

 

 

今回ベスト4に残った4選手をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?それぞれ持ち味が違うテニスプレイヤー。背負っている背景や、歴史などプレイヤーの心に去来するものも、試合を重ねるごとに重みを増すことでしょう。それぞれのプレイヤーにドラマがあり、見ているこちらの心も動かされます。

今年も様々な感動を与えてくれたUS OPENもあと少し。ますます熱い決勝を期待しましょう!

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