今年最後のグランドスラム、全米を楽しむ

テニスのグランドスラム、ウインブルドンが先日、男女ともに初優勝(男子:ノバク・ジョコビッチ、女子:ペトラ・クビトバ)で幕を閉じました。今年も4大大会も全米オープンを残すのみとなりました。最後と聞くと、ずいぶんと早く今年も後半戦に突入したのだなとしみじみ思います。

 

 

テニスファン必見の今年最後のグランドスラム大会、全米オープンをここでちょっとおさらいしてみましょう。

全米オープン(U.S.Open Championships) は、アメリカ・ニューヨーク市郊外のフラッシング・メドウで毎年8月の最終月曜日から2週間の日程で行われる世界の4大メジャーテニス選手権の一つ。

観客動員数、賞金総額等において世界最大のテニストーナメントです。その優勝賞金額は2010年はなんと170万ドル。

円高とはいえ1億4000万絵円近くが1つの大会で優勝者に送られるとはすごい大会ですよね。ちなみに先日行われたウインブルドンは優勝賞金110万ポンド(142774550円、7/8日現在)でドル安も相まってこちらも同額程度。今年は更に大きな金額になると思われます。

会場はUSTAナショナルテニスセンター。過去の優勝者はポロシャツでおなじみのルネ・ラコステやフレッド・ペリー、アーサー・アッシュ等のレジェンド達をはじめ、ジョン・マッケンロー、ピート・サンプラス、ロジャー・フェデラー等名選手ぞろいです。

大会の傾向としては、他の4台大会に比べると大番狂わせがあまりない大会で、ナダルが昨年24才で優勝したのが最年少と優勝者の平均年齢が高い大会です。

数字から読み解くと、試合巧者でなければ頂は拝めないというタフな大会。毎年8月の終わりに行われる為に、残暑厳しく、ハードコートの日光の照り返しも相まって、そういった意味でもタフさが求められる大会でもあります。

 

見所はなんといっても男子は世界ランク1位に躍り出たノバク・ジョコビッチ。ハードコートでは今年ほとんど無敵と行っていいくらいの勝率を残しており、今年も年初から41連勝して大会を総なめにしておりました。4大大会も今年既に2勝。破れた全仏もベスト4。無類の強さを誇っています。

女子では怪我から復帰したセリーナ・ウィリアムズと姉のビーナスが全米というホームグラウンドで若手新興勢力からカップを奪い返せるのかというところも見逃せないところでしょう。

そこで、今年最後のグランドスラム大会を何倍も楽しむ為に、今注目の選手を何人かご紹介したいと思います。

Sub10と呼ばれるランキング10位以内は誰しも優勝候補です。今回は意外性のある優勝を狙える選手に的を絞ってみました。明日のチャンピオンを狙う、若き精鋭達。名前を知っておくだけでもトーナメントを楽しんでご覧頂けると思います。

■日本テニス界の期待の星、錦織圭

ちょっとベタですが、期待の星という点ではこの人を外すわけには行きません。アメリカ在住の彼にとっては時差もなくホームグラウンドとして全力で戦える、4大大会では一番優勝の可能性のある大会ともいえます。事実、過去の大会では4Rまで進出しておりますし、サーフェスも得意とするハードコートです。

普段はフロリダのニック・ボロテリー・テニスアカデミーで練習しておりますが、過去に所属した選手はサンプラス、ベッカー、ヒンギス、シャラポアと世界ランク1位の選手を数多く輩出しており、錦織のコーチもメンタルトレーナーを含めて17人と世界を狙える体制でバックアップしています。

彼の持ち味はなんといってもロケット弾のようなフォアハンドストローク。

大きな大会前の怪我も多く、安定感という面では疑問符がつく彼ですが、今男子のアジア勢でグランドスラムを狙えるのは彼以外にはいないと思います。

フェレールやジェームズ・ブレークなど当時の実力者を次々に大物食いしてきた彼ですから、フィジカルコンディションとトーナメントの組み合わせさえよければかなりの上位に食い込める逸材です。

日本のメディアでも大きく取り上げられる彼ですが、得意のハードコートで平成の下克上を成し遂げてみせるのか。注目です。

 

■小さな島の英雄、マルコス・バグダティス

マルコス・バグダティスはキプロスという地中海に浮かぶ小さな島国の出身で、現在26才。ベースラインからの強烈なストロークと、勝負強いサービスを武器に2006年には4大大会の一つ、全豪オープンで、決勝まで駒を進めました。

2010年にはランキング1位のナダルや、フェデラーにも勝ち、潜在能力の高さを伺わせます。彼の持ち味は戦略のうまさ。サーブももちろん1級品なのですが、いいサービスの出しどころや相手との間の取り方、駆け引きにとても長けている選手で、ドロップショットなど、もっさりした見かけに似合わずセンスあふれるクレバーなプレーヤーです。

緊張感あふれる2010年のATPマスターズの決勝ラストゲームはこちら。

パワーテニス全盛の昨今において、珍しくスピンや遅い球など緩急を付けて戦える希有な存在です。7/8日現在,24位。もう少し上の方で戦って行ける選手ですので、試合展開なども面白く、是非注目してみて下さい。

 

■脅威のフィジカル、ガエル・モンフィス

 

フランス・パリ出身の男子プロテニス選手で、24才。今脂が乗り切っている選手で、193cmの長身から繰り出されるビッグサーブは脅威そのもの。

彼の最大の持ち味は、長い手足を使った驚異的なコートカバーリングで、コートの端から端までを飛ぶように駆け回る身体能力の持ち主です。

経験者の方は分かると思うのですが、テニスなど球技のスポーツではどうしても球に近づきすぎると窮屈な打ち方になってしまうので、歩幅の調整が必要になります。

モンフィスはそれをコートを滑ることで調節してしまったり、腕をたたんで窮屈な体制で難なくしのいだりと通常では考えられない型破りな選手です。

土のコートや芝のコートではシューズを滑らせてポジションに入ることはできるのですが、通常サーフェスがコンクリートやゴムのハードコートでは、摩擦が強すぎてシューズが滑りません。

ところが彼は車がドリフト走行するように煙を靴底から出しながら滑ってゆきます。周りにはこげたゴムの匂いが立ちこめるそうで、松岡修造氏も驚いておりました。

私も目の前でみたことがありますが、同じスポーツをやっているのかと思うほど動きが滑らかで、野生の動物のような動きでした。彼も昨年は全米ベスト4まで上り詰め、今年はSub10の仲間入りをついに果たしました。

フェデラーの王子様のような美しいフォームと比べると、お世辞にもきれいなフォームとはいえませんが、この型破り感とバスケット選手のような派手な風貌は一度ご覧頂くとファンになる方も多いかと思います。

彼が暴れ回る姿を、今年の全米でみてみたいと思います。

 

男子の注目選手をご紹介しましたが、他にも個性的で魅力的な選手がたくさん登場しますので、夏の最後は全米オープンに是非注目してみて下さい!

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