ずっとハマっているもの19

今回ご紹介する愛すべきサウスパークキャラクターは、「パンツの精(underpants gnomes)」です。

彼らは、パンツの妖精(ノーム)で、街中の下着を集めています(正確には、こっそり忍び込んで盗んでいます)。

なぜそんなことをするのかというと、彼らは会社を経営していて、最終的に利益を生み出すための最初のステップとして下着を集めまくっているのです。

さあ、ここまでの説明で、「なるほど、そうだったのか。納得した。」とか「さぞかし大金を稼いでいるんだろうな。」とか、または「なんだ、そんなおいしい儲け話があったとは!さっそく私も始めなきゃ!」などと思った方はぜひこの回のエピソード(第2シーズン第17話)を繰り返しご覧になって研究していただければと思います。

もしかしたら、みなさんの中にものすごく疑い深い方がいらっしゃって、「そんなおいしい話にはどうせ裏があるんでしょ?」とか「今から下着を集め始めてももう遅いのでは?現時点で自分が所有している下着からでも始められますか?」とか、「代理店は募集している?FC加盟は可能?」などとどうしても勇気が出ずあと一歩踏み出すのを躊躇しているという方には、下着集めが最終的に利益に変わるまでの戦略・プロセスを特別にご紹介しておきます。

PHASE1: Collect underpants

PHASE2: ?

PHASE3: Profit

第1段階: 下着を集める

第2段階: ?

第3段階: 利益

・・・

いかがですか?

もちろん、いくら下着を集めても、それをどうやって利益に変えるかさっぱり理解できませんよね。

作中でも、主人公たちがパンツの精たちに「肝心の『第2段階』はどうなってる?」と尋ねるのですが、彼らは「何だっけ?誰か覚えてる?誰も?・・・まあとにかく最後に利益が出るから、今はみんなでできるだけたくさんの下着を集めているんだよ。」と答えるのみです。

実は、この戦略(Underpants Gnomes Plot)は「企業戦略や政策方針の愚かな例」として、のちに実社会で様々な場面で引用されるほど有名になっています。

例えば、2016年には、スペースX社・テスラ社のCEOであるイーロン・マスク氏が火星への有人飛行のプレゼンテーションの中で「我々は、まず下着を盗む必要がある」とジョークを飛ばしました。

2017年には、ウォールストリートジャーナル紙がトランプ大統領の政策を批判する際、「減税や福祉政策への予算カットなどをやれば経済成長を達成できると言っているが、それらの政策の実施と経済成長という結果の間の因果関係を示すデータが全く示されていない。まるで、『とにかく下着を集めろ!そして利益をだせ!』と叫んでいるようなものだ」と書いています。

30年近く続いているアニメであるサウスパーク。

ミッキー・マウスやマイケル・ジャクソンが登場したり(かなり際どい表現で笑)、トム・クルーズとサイエントロジーの関係をパロって本当に訴えられたり、ムハンマドを描いてイスラム教世界から殺害予告が来たりと、お騒がせな部分が強調されがちなアニメですが、エミー賞(映画界におけるアカデミー賞に相当)を5回も受賞したり、作中の表現が現実世界で使用されたり、学術的な研究の対象になったりと、決してふざけた部分だけではなく、深く考えさせられる部分も多いです。

ちなみに、今回のエピソードでも、テーマは「グローバル企業とローカル企業の対立(スターバックスと地元の喫茶店)」について描いており、実は深いのです。

「パンツの精」はというと・・・

地元の喫茶店の息子トゥイークのパンツをこっそり盗みにきたところを、彼に見つかってしまいます。

でも、トゥイークが「パンツを妖精に盗まれた!!」といくら訴えても、周りの友達は誰も信じてくれません。

喫茶店を経営している父親も、「まあ、いいからコーヒーを飲んで落ち着きなさい。」と言うだけで取り合ってくれません。

というのも、トゥイークは、何かあるたびに父親から「まあコーヒーを飲んで落ち着きなさい。」とコーヒーばかり飲まされるので、カフェイン中毒になっており、いつも幻覚が見えたり、変なことを口走ったりしているからです。

口癖は、「コーヒーが飲みたい! ( I need coffee! )」、「こんなプレッシャー耐えられない!( Too much pressure! )」です。

そんな中、サウスパークに大型コーヒーチェーン「Harbucks」が進出してくることになり、地元の喫茶店のオーナー、つまりトゥイークの父親がそれをなんとか阻止しようと画策するところから物語が始まります。

続きはぜひ動画でご覧ください(第2シーズン第17話)。

深くて、くだらなくて、最高です笑。

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